2025.07.25

「NAVER CareCall」、認知症のある高齢者の記憶機能と抑うつ症状に有益な変化

研究成果が国際学術誌「Scientific Reports」に掲載、AIを活用した非薬物的ケアの可能性を示す

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AI音声モニタリング電話サービス「NAVER CareCall」(論文中の表記:CLOVA CareCall)を利用した認知症のある高齢者において、記憶機能の向上と抑うつ症状の軽減を示す研究結果が報告されました。

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研究成果は2025年7月25日、Nature Portfolioが刊行する国際学術誌「Scientific Reports」に掲載されました。論文タイトルは「Beneficial effect of artificial intelligence care call on memory and depression in community dwelling individuals with dementia」です。

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本研究には、韓国の漢陽大学医学部および同大学医療・デジタル工学科、NAVER Cloud、ソウル市城東区認知症安心センターなどに所属する研究者が参加しました。

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地域で暮らす認知症のある高齢者80人を31週間調査

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研究には、ソウル市城東区認知症安心センターに登録された、地域で暮らす認知症のある高齢者80人が参加しました。参加者の平均年齢は79.9歳で、女性が63人、男性が17人でした。また、59人が一人暮らしでした。

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参加者は2024年4月23日から11月28日までの31週間にわたり、週2回、1人当たり計63回の「NAVER CareCall」を利用しました。

介入の前後には、韓国版老年期うつ病評価尺度「GDS」と、認知機能スクリーニング検査「CIST」を用いた評価を実施。注意、記憶、言語の各機能と抑うつ症状の変化を分析しました。

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抑うつ症状の指標が低下、記憶スコアは上昇

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「NAVER CareCall」の利用後、GDSスコアの中央値は8.5から6.0へ有意に低下しました。GDSは数値が高いほど抑うつ症状が強いことを示すため、今回の結果は抑うつ症状が軽減した可能性を示しています。

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介入前にGDS上で比較的強い抑うつ症状が疑われる水準にあった34人のうち15人は、介入後に軽度または「抑うつ症状なし」に相当する水準へ移行しました。

軽度の抑うつ症状が疑われる水準にあった21人のうち9人も、GDS上で「抑うつ症状なし」に相当する水準へ移行しました。こうした分布の変化には、統計的な有意差が確認されました。

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記憶スコアの中央値は3.0から4.0へ有意に上昇しました。一方、注意機能と言語機能については、参加者全体で統計的に有意な改善は確認されませんでした。

研究チームは、LLMを活用した音声AIとの継続的な会話が、認知症のある高齢者に情緒的な支援と認知的な刺激を提供した可能性があると分析しています。

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性別や教育歴によって異なる傾向

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さらに、年齢、性別、教育歴による違いを検討した探索的分析では、介入後の変化に個人差がある可能性も示されました。

女性参加者では、記憶スコアがより大きく改善し、注意スコアも維持される傾向が確認されました。一方、男性参加者では記憶スコアに有意な変化がなく、注意スコアは低下しました。

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教育歴についても、年齢との相互作用が抑うつ症状と注意機能の変化に影響している可能性が示されました。

研究チームは、AIを活用した認知症ケアにおいても、利用者の年齢、性別、教育歴などを踏まえた個別対応が重要になると指摘しています。

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電話だけで利用できる、LLMベースの見守りサービス

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「NAVER CareCall」は、公共機関の担当者がウェブ管理画面に見守り対象者を登録すると、AIが定期的に電話をかける仕組みです。

AIは食事、睡眠、健康状態、運動、外出などについて尋ね、回答内容を分析します。会話結果はレポートとして担当機関に共有され、日々の見守りや必要な支援に活用されます。

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過去の会話内容を踏まえた対話にも対応しており、利用者の状況に応じた自然で一貫性のあるコミュニケーションを行います。認知機能に課題がある利用者にも配慮し、ゆっくりとした明瞭な音声と、理解しやすい表現を採用しています。

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専用機器やスマートフォンアプリを必要とせず、普段使用している電話で利用できるため、デジタル機器の操作に不慣れな高齢者にも導入しやすいことが特長です。

なお、現在のサービスは、基本的な口頭でのやり取りが可能な利用者を対象としています。

論文によると、2025年3月時点で韓国全国の140機関に導入され、約3万人がサービスを利用していました。

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AIによる認知症ケアの可能性と今後の課題

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今回の研究は、LLMを活用した電話型AIサービスが、地域で暮らす認知症のある高齢者の記憶機能や心理状態を支援する非薬物的アプローチとなり得る可能性を示しました。

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一方、本研究には比較対象となる対照群が設定されていません。そのため、確認された変化が「NAVER CareCall」の利用だけによるものか、生活環境、服薬、家族や介護者による支援など、ほかの要因によるものかを断定することはできません。

追跡期間も31週間に限られており、確認された変化が長期的に持続するかは明らかになっていません。認知機能の評価も記憶、注意、言語の一部領域に限られ、認知症のタイプ別分析も行われませんでした。

研究チームは今後、対照群を設けたより大規模な研究や長期的な追跡調査を行い、AIケアコールの有効性と適切な利用方法をさらに検証する必要があるとしています。

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研究体制と情報開示

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本研究には、NAVER Cloudに所属する研究者2人が共著者として参加しました。研究費は、韓国政府の科学技術情報通信部が支援する韓国研究財団のバイオ・医療技術開発事業などから提供されました。

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論文上、著者らは競合する利益がないことを申告しています。

今回の論文掲載は、TEAM NAVERの対話型AI技術を対象に、漢陽大学、NAVER Cloud、城東区認知症安心センターなどの研究者が共同で、認知症のある高齢者への活用可能性を学術的に検討した成果です。

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論文の詳細は、Scientific Reports公式サイトでご覧いただけます。